小林しげき活動レポートvol.214
小林しげき活動レポートvol.214 令和7年6月1日(日)
「日本経済の実力」
その国の経済力を測る物差しは一つではありません。例えば「為替」「株価」そして「GDP」代表的な指標です。現在世界で最も強い経済力を持つ国が米国であることに異論はないでしょう。対米ドルのレートは現在145円前後。円安水準です。株価はトランプ関税発表直後に下落し、やや持ち直しました。最後のGDPは近年伸び悩んでいます。
何事も現在という「点」と、歴史という「線」の両面を見ることが大事です。私が国政に挑戦した2012年12月の日本経済はどうであったか。為替は1ドル80円。株価は9,000円。為替は行き過ぎた円高であり、自動車産業は苦境に陥っていました。株価は現在のわずか4分の1です。このように「線」つまり傾向で見ると、日本経済は衰退している訳ではないのです。
先日「デフレの正体」の著者として知られる藻谷浩介氏の講演を聴きました。日本経済の知られざる一面として紹介されたのが「日本にとっての貿易赤字国はどこか」という問いです。経済大国たる米国と中国は、いずれも日本からの輸出が多い貿易黒字国です。意外にも「イタリアとスイス」が貿易赤字国なのです。イタリアからはパスタやオリーブオイル。スイスからは高級時計を輸入していますが赤字幅は大した額ではありません。総じて今年度の貿易収支は改善する見込みです。
藻谷氏の説は数字に基づいており、頷ける部分が多いのですが、唯一気になるのは安倍政権の経済政策すなわち「アベノミクス」を評価せずむしろ経済成長率を落ち込ませた、としている点です。異次元の金融緩和は企業の内部留保を積み重ねたに過ぎず、本来やるべき未来への投資を怠ったとしています。しかしこの蓄えが国にあったからこそ、新型コロナ禍でわが国が経済危機を乗り越えたと私は考えます。
今、日本が経済分野で取るべき道は何か?
それは企業も個人も、未来への投資をすることです。企業は研究・開発を通じて社会のニーズに応える商品やサービスを追求する。その過程でイノベーションが起こります。個人は余暇を楽しみ、自分を磨くための勉強(リスキリング)にお金を使う。これらの行動が内需を振興します。人口減少や地方の衰退といった課題先進国である我が国はすなわち「課題解決先進国」となる実力も有しているのです。
本当に「日本の財政状況はギリシャよりもよろしくない」のか?
去る19日の参議院予算委員会で石破首相は「「わが国の財政状況は間違いなく、極めてよろしくない。ギリシャよりもよろしくないという状況だ。税収は増えているが、社会保障費も増えている。減税して財源は国債で賄うとの考えには賛同できない」と発言されました。
私は、この発言については、3つの問題があると思います。1つは、国のトップが自国の財政状況が悪い、金融危機が起きたギリシャより悪いというのを、オフィシャルな場、それも国会の予算委員会で発言することは、国益にとってマイナスの影響しかないということです。国債の信用を毀損し、海外からの日本への投資が減る可能性があります。
2つ目として、この発言に事実誤認があります。推測ですが、ギリシャの比較が出てきたので、財務省などが出している債務残高(対GDP比)の資料が念頭に合ったと思います。2024年の指標では、日本はスーダンに次ぐワースト2で、6位のギリシャより悪いことになっています。ただ、この指標は、一つの側面だけしか捉えていません。
日本の企業で、有利子負債が1番多い企業をご存じでしょうか?実は連結ベースで38兆円を超える企業があります。それはトヨタ自動車です。そのトヨタ自動車は連結で時価総額は41兆円を、純資産は36兆円を超えています。これも日本一です。トヨタ自動車が借金多くて財政的に厳しいと聞いたことはありません。日本も同様に資産があります。中央銀行(日本では日本銀行)も合わせた純資産残高対GDP比を見るとG7の中で2番目となっています。債務残高だけで評価することは正確な事実に基づいていないということです。
3つ目の問題は、財政健全化を優先して経済成長の議論がされていないということです。日本のGDPは1995年を
100とすると2021年は120未満、他方アメリカは180を超え、カナダで170、イギリスで160、フランスは140、ドイツは130を越えています。日本が他国並みの経済成長をしていれば、税収額もその分が増えていて、今懸念している債務残高はもっと少なくて済んだはずです。経済成長していない中、財政規律を重視した結果が国民負担率10%以上増加するという事態になっています。
将来世代に責任をもつことは、財政規律を守ることだけではありません。経済成長をすることも大きな責任です。
経済成長と財政収支の改善を両立できれば、財政健全化に寄与します。私は、財政収支のバランスを見ながら、積極財政による経済成長を優先した政策を進めて参ります。